ハーレムプリンセス
「姫おはよー!!!」
『おは…グエッ!』
教室に入ると紫苑君が一番乗りで挨拶しながら抱き着いてきた。
『し、紫苑君、おはよう…』
抱きしめられて苦しいため、挨拶がおかしくなった。
「姫、今日も遅かったね?どうしたの?」
『え?な、何でもないよ?』
アタシはここ何日か時間ギリギリに来てる。
それは、もちろん黒い手紙が毎日郵便されてるため。
意外にもちょっと現実逃避してる。
「ふ〜ん」
紫苑君はどこかふに落ちない顔をしながらそう言う。
『ほ、ほら!!クラスに戻んないと!HR始まっちゃうよ!?』
紫苑君をそう急かして自分のクラスに返らせた。
アタシも自分の席に戻ろうとしたらまたしてもアイツと目が合ってしまった。
…―ドキッ。
目が合った途端心臓のリズムが速くなった。
だって、アイツはいつもみたいなふざけた笑顔一つない無表情でこちらを見てくる。
その表情は、すべてを見透かしているような、そんな表情をしてる。
恋のドキドキじゃない。
いつバレるかっていう緊張から来ているドキドキ。
皆にはバラしちゃいけないわけじゃない。
けど、迷惑かけるなんて絶対にしたくない。
そこまで皆に守ってもらう義理がない。
だから、一人で解決したい。
でも、舜…あんたの顔を見ると決意が揺らぎそうだよ…。