ハーレムプリンセス





…―コツ、コツ、コツ。








…―コツ、コツ、コツ。










誰かこっちに向かって来る!!






遠くから誰か来たかを知らせるように靴の音が薄暗闇に響く。





嫌な音が耳に纏わり付く。とてつもなく耳を塞ぎたくなった。





そしてまた、コツ、コツ、コツ、と、静かにゆっくりと…歩いて来る。




足音は段々近づいてきて、確実にアタシに向かって来ている。




アタシの脳内が不安や恐怖で侵されていく。






……大丈夫。




アイツ奴は絶対迎えに来るよ。自信あるもん。逆に来ない方がおかしい。



そう必死に、冷静に自分言い聞かせる。だけど、その裏腹にアタシの胸の奥深くにある感情が勝手に溢れ出ようとする…。



大丈夫。だから、お願い…これ以上アタシの中で暴れないで…!!不安にさせないで!!





“誰か…助けて!!”


大丈夫に決まってるじゃんか!!100%来るよ。



“お願い…独りにしないで…”


大丈夫、独りなんかじゃないから。仲間がちゃんといて幸せだから。



“…見捨て…ないで…”


アイツ奴がアタシを見捨てるわけ無いって!!見捨てたら末代まで呪ってやるから!!…エヘッ、アタシってワイルドー♪





“……皆……助けて……”





『だから、大丈夫だってばっ!!!!!』




皆なら来るから!!たった今、呪う約束したから大丈夫だって!!来なかったら…ううん、来るよ。絶対に。




だからお願い。アタシを…見捨てないで…もう独りに…しないで…お願いだから…。








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