ハーレムプリンセス
『男友達でもいいよ…だから、アタシを、柏木姫菜一人として見て欲しいな…』
だってさ、悲しいじゃんか、アタシはアタシなのに、“その辺の女”の一人としてしか見てもらえないなんて…そんなの存在を否定されてるみたいでアタシは嫌だ!
『今後はさ、こんな風に力ずくじゃ無くてさ!その他の女子のくくりじゃなくて!柏木姫菜と正々堂々と戦おうよ!!ね?』
こうやって言ってるけど、正直…怖くて、怖くて仕方ない。本当はそんなの死んでもお断りわりだ!!
だけど、ここまでして女を嫌うんだから、2人には、深くて抜け出せない過去があるんだと思う。
それに比べたら、これくらいのこと、何とも無い。
彼らからの何らかのアタシへのSOSだと思ってるから…。
「ふっ…変な奴だなお前」
そう言って詩さんに鼻で笑われた。
あなたには言われたく無いですけどね…。
とは、恐いから黙っておこう!!
「正々堂々…ねぇ」
『はい、正々堂々です!』
「ふっ、今さら敬語かよ…」
や、やば!!!すっかり忘れてたー!!!
アタシ今、絶対顔引き攣ってるよ!!
「ブサイクだな…まぁいい…まぁお前の言う通り正々堂々と勝負してやらなくもない」
『本当ですか!?』
今、ブサイクって、聞こえた気がしたけど…気にしない!!
「はぁ!?詩!正気か?こんな女に…」
「葵。ただし…うぬぼれれんじゃねぇぞ??俺は、お前のこと大っ嫌いだかな」
そう言い、ニヤッと笑う。
『アタシは大好きですら!!!』
アタシも負けじと笑い返した。
そうして、アタシは皆の元へ歩きだした。
「俺も…過去から抜け出せんのか…??」
詩さんが、アタシの背中を見ながら、本当にわずかな声でそう言ったことは聞かなかったことにしよう…。
アタシ達の間に今、コングがなった。