ハーレムプリンセス
「葵は…自分が分かんなくなる時ってあるか…?」
自分を見失って、自分が恐くなって……。
…どうしようもなく自分を壊したくなることってあるか??
「…さあね?俺は、他人にも興味ないけど、自分にも興味無いんだ。…ただ、言えるのは、自分のことは嫌いだってことかな?」
「……」
「殺したいくらいにね?」
「っ!?」
葵の顔は不気味なくらいに笑ってる。
そして、
“どうせ、詩だって同じでしょ?”
って、また笑った。
あぁ、何だ…そうか。
「…フッ」
そうだ…俺と葵は一緒なんだ。
人を信じて裏切られ…だけど心では人を信じたいって思ってる馬鹿な奴らなんだ…俺達。
「俺達が女を受け入れられる日ってくんのかな???」
「…知らないよ〜、誰も未来なんか分かんないんだから。てか、分かっても別にどうでもいい…」
「お前らしいな…」
他人に無関心で誰にでも冷酷な葵。
だけど、それが本当の葵なんかじゃねぇ。
本当は優しくて、明るくて困ってる奴がいたらホっとけなくて、誰からも慕われる人気者。
今、こんな風になっちまったのは、母親のせい。
母親って呼んでさえいいのかも分からない。
少なくとも、母親の方はは自分を母親と名乗る資格は無い。
この葵の過去を俺は誰にも話したことが無い。
それは、あまりにも酷くて、残酷で息の仕方も分からなくなるような過去だから。
それに、俺の過去なんか葵の過去に比べたら全く何ともない。比べたられいけない。
だから葵は変わった。
自殺を図るくらい。
俺は葵のその過去を知っている。
だから、俺は葵から離れないんだ。
いや、それだけじゃなく俺を理解してくれるコイツから離れるなんて俺が出来ない。