愛玩子猫のしつけ方
「…………。」
急に黙り込んでしまったあたしに、エリさんは微かな苦笑をもらして……………
「…………にこちゃんはもう知ってるのね……?」
「………!」
その言葉に弾かれたように顔をあげた。
「大丈夫……私は反対していないのよ。あの子の人生はあの子のものなんだから……………。」
そう言ったエリさんは……とても優しいお母さんの顔をしてた……。
「反対してるのは主人。似てるわよ~?実は頑固なとこまでそっくり!………諦めさせようとしてドイツなんて言っちゃって……逆効果なのよね?」
思わず、クスリと笑みがこぼれてしまった。そっくりな二人の攻防戦は……由貴くんの勝利みたいだし。
「…………でも……そのせいで……にこちゃんには寂しい思いをさせちゃうわね………。」
「………!い、いいえ!!あたし……由貴くんの夢、応援したいから………!」
エリさんの申し訳なさそうな顔にあたしは慌てて首を振った。
「…………由貴のこと……待っててくれるの…………?」
エリさんは目を見開いて呆然とあたしを見つめた。
「はいっ!………あたし、ずっとずっと待ってます。」
「………っ!!」
だから満面の笑顔で自信たっぷりに答えた。
そしたら………
「………もう!………ほんとに……なんていい子………。」
「………エリさん……?」
エリさんはあたしを優しく抱き締めた………。
由貴くんとは違う………柔らかな華奢な抱擁…………。
だけど………温かさは………そっくり同じだったよ…………。
あぁ……由貴くんの………ママだなぁ……。