愛玩子猫のしつけ方





「………!!………由貴くん……!」



それは、あたしがずっと聞きたかった声で………



思わず興奮に大きな声が出た。



『………うん。にこちゃん………。』



「………っ!」



名前を呼ばれただけで息がつまりそうなくらい嬉しかった。



「………どうして…っ!?……電話なんて…っ!」



あたしの言葉に由貴くんは………



『メールだけじゃ、もう限界………。』



声が聞きたかった……そうつぶやくように由貴くんは言った。



「………っ。」



思わず口を手で押さえて、漏れそうになる嗚咽を抑えた。



だけど、目には堪えきれなくなった涙が溢れてしまった。









『………俺は限界なんだけど……にこちゃんは?』



探るように言われたそれに、心臓が跳ねる。



泣いてるのは気づかれてないはず……なんとか呼吸を整えて……



「………あたしは………っ」



大丈夫。………そう続けるはずだったのに……







『………俺は、凛子さんに張り合える程度には…にこちゃんのこと……知ってるよ?』



「………!?」



だから、無駄な抵抗はやめろとでも言いたげなセリフだった………。










『………それで?……俺に言いたいことは?』











そんなの…………ずるいよ………。












< 241 / 283 >

この作品をシェア

pagetop