愛玩子猫のしつけ方
「エリ先生……!!あたし……っ!なんかしましたか………!?」
―――ガチャッ!!と扉を開けるなりそう言って事務所に入った。
「………まったくあなたって子は~…。誰も叱りはしないわよ!
今日はもうこの後急ぎの案件はないから帰っていいわよー。」
「…………へっ!?」
まったくもって拍子抜けな用事で……あたしからはマヌケな声が出た。
「さぁ……!さっさとお帰りなさい!」
「えぇぇーーっ!?」
ぽいっとカバンまで渡されて、まるで追い立てられるかのように事務所を出されてしまった。
そして…訳がわからないあたしの顔を、エリ先生は急に真剣な瞳で見つめた。
「………ほんとに、よく頑張ったわね……。
弁護士バッジの向日葵は正義と自由、秤台は公正と平等………。
あなたなら、これを追い求めるにふさわしい弁護士になれると……信じてるわ。」
「………!!」
にっこりと綺麗に微笑むと、今度こそ扉を閉めてしまった………。
「………っ。」
でも、次第に胸はじんわりと温かくなった………。
あたし………がんばってよかったな………!
もちろん……!
これからもがんばろう………!!
このバッジに…エリ先生に………恥じないような弁護士を目指して!!
とりあえず、強制的?に終わったらしい仕事をたまのラッキーだと思うことにして……
弾む足取りで法律事務所を後にした。