大切なもの
隣には千湖が僕の肩に寄りかかって寝ていた。
起こす事も出来ず、動けない状況から30分は経っているだろう。
体勢は辛いけれど、近くで見る寝顔にドキドキして、時間が経つのが早く感じた。
「~んっ」
起きそう。
「……千湖?」
起きてほしくない気持ちが出てきて、絶対起きない小さな声で呼んだ。
「……すぅ」
やっぱり起きなくて、寝息がもれてる。
その時だ。
寝惚けているからだろう。
ぎゅうっと抱きつかれ、僕は耳元に千湖の息を感じた。
「ちぃ、く……ん」
囁かれた言葉に感じた。