大切なもの



「……ちいこ」



言わないと決めた呼び方も、寝ているならと声に出せば溢れかけた恋慕。



「ちいこ」



いらない彼女を作った僕に、千湖は素っ気なかった。
正直期待していた。


嫌だと言ってくれるんじゃないか。
許さないと言ってくれるんじゃないか。


馬鹿だった。



千湖が笑っていられるように、僕はなんでもするよ。



「ちいこ」



君は誰かを選んだりしないで。
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