大切なもの
「千鳥、起きなさい」
寝てばかりいないで、私と一緒に居て。
寝ぼけ眼で目を開けた君は、まだ寝足りなそうにシバシバしていた。
「ん、」
掠れた声は色っぽく、変声期を迎えた君の声は低く、心臓が煩く鳴った。
「起きるね、ちいこ」
君は反則ばかり。
呼ばないで。
そんな優しい声で呼ばないで。
泣いてしまいそうになるじゃない。
君を抱き締めたくなるじゃない。
好きよ。
誰より、君が好き。
メニュー