大切なもの



千湖の荷物を持つのは僕の役目。



「相変わらず尽くしてんなー。
何回見ても慣れねぇ」


「あんたが慣れても慣れなくても構わないわ。
……気安く千鳥に話しかけないで!」


智也は瞬きを何回かして、


「え、ヤキモチ?」


爆弾を放った。


「ち、違うわよ!!
変な誤解しないで!!」


強く否定する言葉に突き刺さるものはあるが、千湖が穏やかになれない方が、俺にとって問題だった。



「智也、だめ」

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