大切なもの



自然に口元の両端が上がってゆく。

これが笑う……。


懐かしい感覚。



「やられちゃったな。
お前1年のクセに強いよ」


野花部長だ。
汗かいてもかっこいいと、男の僕でも思う。


「ありがとうございます」

「……お前、」


急に肩を組まれると、ワシワシと頭を撫でられた。


「笑えるんだな!」


あぁ、かっこいいな。


そう言う先輩は、僕なんかの比じゃないくらい笑ってて、キラキラ眩しかった。


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