大切なもの


持ってきていたバックからポーチを取り出した。


「髪の毛整えてあげる」


女物だけど、ワックスとかもあるし。


素直に座った千鳥の髪を弄る。
見事な猫っ毛。


「じっとしてて」

「……ん」


少し肩の力が緩んだ。


髪に触れている間、ドキドキする心臓の音が聞こえないか心配だった。


「出来た。鏡見てみな」


我ながら良い仕事したかもしれない。


「つんつん」


鏡を見ながら髪に触れる千鳥は可愛すぎる。


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