大切なもの



千湖は僕の事どう思っているのだろう。


下僕?
犬?
幼なじみ?


一生なり得ないとわかっていつつ、望んでしまう彼氏という称号。


今も残る傷を見る度言えないでいる僕は、多分一番彼氏から遠い。



だから、さっきは疑似体験できた気分。



「帰るわ」


もう?
いつもならもっと……。
まだ……


「わかった」



僕に許されているのは了解の意だけ。

僕が言って良いのは、聞き分けの良い言葉だけ。



「送るよ」


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