大切なもの
「隣なんだし、構わないで良いわよ」
違う。
もっと一緒に居たいんだ。
「外、暗いし。
危ないから、送らせて?」
良い様な理由を並べて、千湖の家まで送る。
「……それじゃ、また明日ね」
「うん。
朝迎えに行く」
離れる時は寂しい。
隣の家でも、向かいの部屋でも、寂しさは変わらない。
別れた瞬間に、会える明日を考える。
……重症だ。
だから、早く寝てしまって考えないようにするんだ。
何もかも。