大切なもの
「千鳥は私の……」
こんな時、言葉にしきれない僕達の関係がもどかしい。
いっそ、彼氏って言ってくれないかなとか甘い考えが頭に浮かぶ。
……一番あり得ないか。
「……千鳥と私は幼なじみよ!!」
たったそれだけ。
千湖は僕を所有欲みたいに求めて、それは愛じゃない。
弟に向けるような好意。
「はっ、それだけで千鳥様を我が物顔しながら登校ですか」
「そうよ」
「笑わせないでくれません?
貴女はそうやって物のように千鳥様を所有して、自分だけしか考えない」