大切なもの




「それでは千鳥様があんまりだと思いますが」

「……っ」


あ。


右斜め下を見るとき、昔からのクセで…――


「ほら、黙り込むということは自覚してるのでしょ?だったら、「……あんまり千湖、苛めないで」


泣きそうなのを必死に堪えてるんだ。


「僕が良いから良いの。」


本当はね、この“クセ”を見ると抱き締めたくなる。

弱々しい千湖を守ってあげたくなる。


いつからかイケナイ思考も入り込んできた僕。

そして思い知る。
僕達はこのままでは居られないと。
< 78 / 103 >

この作品をシェア

pagetop