大切なもの



部長の鬼な指示を受けながら逆らえられずに従っている智也を見ながら、僕は堂々と柔軟体操を始めた。


良い眺め。





「遅れてすみませーん!」



もっと遅れて来るかと思ってた。
だってまだ目が赤い。



今ここで駆け寄って、皆の目が驚きに満ちる姿を見るのも良いかもしれない。


なのにどうして僕はこうなんだろう。

なのにどうして僕達はああなんだろう。



……今すぐ綺麗なフォームでシュートを決めたい。

いつも喜んでくれる君の為に。
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