大切なもの



部活が終わっても、学校が終わっても、千湖のテンションは落ちたまま。



「お話があります、千鳥様」



今日はなんなんだ?



「………」


じっとりと睨み付けるように僕を見る視線は、僕のことを“千鳥様”と呼んだ子じゃない。



「千湖、ちょっと行ってくるね」



あぁ、どんなに睨んでも僕には可愛いにしか思えないよ。


「すぐに終わる。
……待ってて」


そう言うと千湖はそっぽ向いてしまった。
……可愛いな。

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