大切なもの
「千湖は早く食べて寝る。
わかった?」
斜めに傾げた頭がかっ可愛いっ!
「~~しょうがないわねっ」
私がそう言うと、安心したように瞳が笑う。
その顔を見ると、やっぱり私は千鳥には弱いんだと痛感する。
「雨が降りそうだ」
空を見上げてみると、黒い雨雲が東から迫っていた。
「早く行こう」
差し出された手は今、私に、私だけにさしのばされていて、それが嬉しい。
「ん、」
今だけだとしても、全ては卑怯な私のせいだから。