ちっさいオッサンの奇跡

アパートの外に出て鍵をかける。

「がんばって。」

「…ありがとう。」


清田くんに背中を押され、一歩進む。

今まで怖くて踏み出せなかった一歩。


やっと、進める。



全力で自転車をこぐあたしに向けられる視線は痛い。


別に今じゃなくてもいい。

けど、今じゃなきゃいけない。


清田くんに勇気を貰った今じゃなきゃ。



あたしは、一度だけ生徒会で押しかけたアイツの家の前に立った。



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