ちっさいオッサンの奇跡
オッサン、喜ぶ。
「痛ぇ!!」
宙に残された拳をそのまま正面に立つ奴の腹にヒットさせ、痛がる姿を横目に部屋に入った。
「な、なんで、相原が家に?」
「なんでもだよ馬鹿。」
机の上に目をやると、昨日の朝拉致されたあたしのチョコレート。
と、
「…なんでいんだよ。」
赤い服に身を包み、立派な髭を携えた、ちっさいオッサン。
「ほっほっ
気にするな、見届けに来ただけじゃよ。」
「は?こっちのセリフなんですけど。
何しに来たわけ?
そんな格好で。」
あたしがヨンタに向けて発した言葉は、コイツには訳のわからないものだ。
「シカト?
そんな格好で何しに来たのって聞いてんの。」
同じセリフを繰り返され、やっと自分の格好に目をやる。