羊の皮を被った狼。
悪役を締めたのは、
どうも皆さん浬です。
本番前で緊張を紛らわす為に気分転換ということで中庭を散歩してたんですが……
「栗原って調子乗ってるよね~。」
「ウザいよね。」
「男に媚び売ってるし」
見ては、否、聞いてはいけないものを聞いた気がした。
まさか…上級生が集団でアタシの悪口言ってるとは…!
アタシがいつ男に媚び売りました!?はっきり言って男子とははるちゃんくらいしか喋んないよ!!
白崎先輩もカッコイイけど苦手だし、第一アタシはあの人の下の名前すら知らないんだから!!
「見て見てー持って来ちゃった~」
先輩の手には…。
アタシの衣装が握られていた。
「か、返してください!!」
居ても立ってもいられなくなったアタシは、先輩にの前まで行って手を突き出した。
「出た出たぶりっ子栗原~」
「ちぇーもう見つかっちゃった~。隠してやろうと思ったのに~」
な、なんだこの悪役が言うようなセルフは!?
「と、とにかく返してください!」
グッと引っ張る。が、先輩は衣装を離そうとしない。
「嫌よ。アンタは恥かいてなさい!」
「なっ!!あなた、何言ってるんですか!!アタシ達の劇を、楽しみにしてくれてる人だっているのに…そのキモチを踏みにじるつもりですか!?」
「なによ!!アンタ、生意気よ!!たいして可愛くないくせに!!」
ちょっと!!可愛くないのは今関係ないでしょうが!!
「ねぇ、なにしてんの?」
聞き覚えのない、低い声が背後から聞こえた。