イヌイカ
■いつものとおり
ともかくオレたちは興奮を求めていた。

オレたちの経済力と行動範囲で

得られる興奮はかなり限られている。

毎日のようにパチンコを打った。


別にパチンコが好きなわけじゃない。

やることがなかった。


オレたちは俗にいうニートってやつだ。

何回か就職したがまったくもってなじめなかった。


オレが思うにこの世で今のところはっきりした目的になるのはエロスだけだ。

すべてのことはエロスをどう享受するかを原理にしている。

それを騙すため、搾取するために

あーじゃねこーじゃねと論理をこねて

テクニックをみがき、

価値をあげて

情報と金が乱れ飛ぶ。

それが現代社会のひとつの特徴だ。


経済力がなくて
行動力も
勇気もない。
争いも嫌い。
努力もしない。

そんなオレたちに享受できるエロスは
フィーバーシーンくらいなものだった。


パチンコ屋のノボリには「出血大サービス」と書かれていたが、
血が出たのはオレたちだった。

大量出血、

瀕死の重傷

致死量を越えてオレたちは銀玉を

打って打って打ちまくった。
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