‐Ever Lasting‐
「この曲は特別だ。」


向に肘をついてゆったりと座っている男の人が呟く。


「去年の夏にうちの親父死んだんだ。ちょうど今日みたいに蒸し暑い日だったな。」



「そうだったんですか…」




「もう死ぬって直前まで親父はこのレコード板を回し続けた。よっぽど好きだったんだな…」


心地良い音色にはそれだけのストーリーが隠されていたんだ…





「素敵なお父様だったんですね。」



「ははっ、お嬢ちゃんが誉めてくれたから親父はきっと喜んでるな。」



神妙な面持ちだった男の人はまた歯を見せて豪快に笑う。



「私、この曲好きです。」


「いつでも来るといい。レコードが擦り切れるまでずっと流してるから。」
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