‐Ever Lasting‐
心地良い音色は少しずつ遠くなっていく。


人の数は先程より少なくなった気がしたが、それでも広々と両手を広げて伸びるのには窮屈だ。



汗ばむ程の陽気で、服の袖を捲って歩いていたけれど、それでも暑さは和らぐ事はない。




「流石に暑いわね。」



「すいませんが、バッグに被せてある布をのけてくれませんか?暑さでクラクラします。」




「きゃっ、ごめんなさい。わざとじゃないの!」


「それはどちらでもかまいませんから早く…布を。」




ムワッとした熱気がバッグの中から発つ。




クロは丸くなってぐったりしている。




「まさかあなたに殺されそうになるとは。」



「だから違うんだって!」



「冗談に決まっているじゃないですか。」





もう一度この布をバッグに詰め込んでやろうと考えたが、流石に可哀相なのでやめてあげた。
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