TEQUILA~love is lie~
しかしそれだけで事態は治まらなかった。
帰る途中、上司から電話が掛かってきた。
「はい、矢萩です」
『矢萩、お前なぁ。松岡さんに何ケンカ売ってんだよ』
上司の白波さんは強面だがお茶目な良い人。
でも今日は呆れたように私を嘲笑った。
「え…でもあちらのミスじゃないですか」
『あちらもこちらもねぇよ。…こっちは依頼されてるんじゃねぇ。“依頼してもらって”んだ』
「でも…」
私は納得できなかった。
実際、私の言った事は正論だし、会社側も承諾された。
何一つ問題はないと…。