Fahrenheit -華氏-
「M?」
誰だこれ……
俺は携帯のボディーを確認するように見た。
確かに俺のだ。
わざわざ海外から取り寄せたもので、日本では未発売のだからな。
誰かのと間違えるわけもないか。
俺は携帯の通話ボタンを押した。
「……もしもし?」
『Hello?』
え!?英語!!!
っていうか誰っ!!!
低い男の声だ。
俺が焦っていると、
『Hello?Isn't this cellular phone Ruka?(もしもし?この携帯はルカのものではないのですか?)』
滑らかな英語だった。
えっ?え?
ちょっと待てよ!
何が何だか分からない俺は、間抜けにも
「What?」と聞き返していた。
『I'm sorry.I have the wrong number.(どうやら番号を間違えたようです。申し訳ない)』
ブツ!ツーツー……
通話は切れた。