Fahrenheit -華氏-

「え?」


「ベッド行きません?」


「え?寝室入っていいの?」


柏木さんはちょっと呆れたように眉を寄せると、


「ダメなんて一言も言ってませんが」と無表情に口を開く。


「いや…あんまり踏み込むと嫌がられるかなぁって思って……」


「だったら最初から家に上げたりしませんよ」


それもそうですね。


ってか、俺もしかしてせっかちと思われてる!?


違うんだよ!


これでも気を遣って……って、あーーーもうっ!!


俺は柏木さんの膝の裏と背中に腕を入れると彼女を横抱きにして抱き上げた。


「キャっ」と柏木さんが驚きの声を上げて、俺の首にしがみついてくる。


お!可愛い反応♪


嬉しくなって俺は柏木さんの額に口付けを落とした。


「寝室どこ?」



柏木さんはちょっと頬を赤くして、「あっちです」と廊下の奥を指差した。



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