Fahrenheit -華氏-
俺はバッと顔を背けると、思わず口を覆った。
ヤバイ!!可愛すぎだろっ!!!
これじゃ始める前に俺がダウンしそう。
そんなことを考えてるうちにごそごそと布団の音がして、
「……いいですよ」と小さな声が聞こえてきた。
俺が振り向くと、柏木さんは布団の中に潜り込んでいてこっちに背を向けている。
片方の腕を出して横向きになっていた。
前に一度見た腕のタトゥーがはっきりと存在を誇示している。
俺はそのタトゥーから目を背けると、いそいそと残りの服を脱いだ。
「お邪魔しま~す♪」
と言って、布団の中に潜り込む。
柏木さんは振り向かなかった。
そんな冷たい態度も、今は愛おしく感じる。
俺は柏木さんの背後から華奢な背中をぎゅっと抱きしめた。
柔らかくてさらりとした肌の感触が腕にしっとりとなじむ。
あー……幸せ…
そう思いながら柏木さんの首筋にキスをした。
柏木さんがちょっと振り向いた。
その頬がほんのちょっと赤い。柏木さんは言いにくそうに口を開くと、
「……部長…当たってます…」
と言って眉を寄せた。
「す、スミマセン」
俺はちょっと腰を引いた。