Fahrenheit -華氏-

避妊具があるのと無いとの違いもあるけど、何だろう……すっげー気持ちが良い。


どろどろに溶けて柏木さんと一体化している感じ。


あったかくて、どこか優しくて……



すっごく幸せだ。





柏木さんは俺の首にしがみついて、小さな吐息を漏らした。


キスを繰り返し、首筋に浮かんだ汗の粒を舐めとり、頬に手を伸ばし彼女の顔を見る。


苦しそうともとれるようなちょっと切なげな表情がとても美しかった。


でも……気のせいだろうか、彼女の睫に光るものがくっついているのは。


涙―――……?



でも柏木さんは泣いてはいなかった。









俺が果てる瞬間彼女は小さな声で―――――







「啓人…………」






と呼んだ。










< 216 / 697 >

この作品をシェア

pagetop