Fahrenheit -華氏-
キッチンでコップ一杯の水を飲むと、リビングのソファに移動してあたしはタバコに火をつけるとほぼ同時だった。
~♪
携帯がふいに鳴りだす。
こんな時間に誰?あたしは訝しげに眉を寄せて携帯を手にとった。
着信:M
となっていた。
あたしの心臓がドキリと一つ大きく跳ね上がった。
何故唐突に目が覚めたのか……
あたしはその理由を今知った。
それは予感だったんだ。
あたしの中に眠る第六感。
~♪
携帯のメロディはあたしの手の中で鳴り続ける。
ドキンドキン…と心臓の音だけがやけにうるさい。
……~♪
鳴り続ける音色に、あたしはとうとう意を決して電話に出ることに決めた。
「……Yeah.It's me.(―――はい)」
『……Hey Ruka.It's me.(やぁルカ。俺だよ)』
どれぐらいぶりに聞く声だろう……
少なくとも半年は聞いていない。
相変わらず低くて、ちょっとセクシーな声。
大好きだった声。
その声に呼ばれると幸せだった…………
でも―――全部過去の話。