Fahrenheit -華氏-


ってか!なんかいい!♪


俺のシャツを羽織る柏木さん♪


可愛すぎだろ!


なんて考えるのもつかの間。俺ははっとなった。


「あ…ごめんね?柏木さんが起きる前に帰ろうかと思ったけど…」


「そうですね」


柏木さんは表情を変えずにサラリと言う。


グサッ!


相変わらず柏木さんの言葉はキビシイ。


でも


いつもの柏木さんだ。


俺はちょっとほっとした。


って、冷たくされてるのにほっとする俺ってどうよ!?


やっぱ俺ってM!?


「あ~…迷惑ついでに悪いんだけど、シャワー貸してくれる?」


喜んだり落ち込んだりしてる忙しい俺は、とりあえず頭をすっきりさせよと柏木さんに申し出た。



迷惑そうにされるのを覚悟で。


でも柏木さんはそんな素振りちっともみせずに、


「いいですよ」と言って立ち上がった。


図々しい俺の言葉にも柏木さんは嫌な顔をしなかった。


てか、分かんないだけかもしれないけど。


バスルームに案内され、


「どうぞごゆっくり」と言って引き返そうとする柏木さんに、


俺は閃いて彼女を引き止めた。


「柏木さん、一緒に入る?」







< 238 / 697 >

この作品をシェア

pagetop