Fahrenheit -華氏-
「お、お前らそ、そういう関係??」
おい!綾子!こないだまで桐島のことが好きだとかほざいてただろ!?
裕二も裕二だ!綾子をそんな目で見てたってーのか!!?
「アホ!お前の想像するような関係じゃねぇよ!」
裕二は迷惑そうに顔を歪めると、俺の頭を軽くはたいた。
「じゃ、どうゆう関係!?」
俺が噛み付くように言うと、
綾子が面倒くさそうに答えた。
「昨日遅くまで裕二と飲んでたら、終電逃しちゃったのよ。タクシーで帰るのももったいないし、泊めてもらっただけ」
よく見ると二人ともちゃんと服を着てる。
……って当たり前か。
裕二もネクタイがないだけのワイシャツとスーツ姿だったし、綾子は化粧も落としていない。
多少化粧が崩れてるぐらいで、特に乱れた様子もない。
「泊めてもらうってお前らなぁ仮にも男と女だろ?間違いでもあったらどうするんだよ」
めずらしく俺は説教臭く文句を垂れた。
「「男と女?」」二人は俺の言葉を復唱して顔を見合す。
そして揃って、
「「あ~ない、ない!こいつだけはないワ」」
とこれまた綺麗にはもった。