Fahrenheit -華氏-
「なんだよ、俺のせいって」
裕二がちょっと気分を悪くしたように目を細めた。
「う゛」
「言えよ。俺のせいで何があったってんだよ」
「そうよぅ。言っちゃいなさいよ。ちょっとは楽になるじゃない」
二人に迫られ、俺は後に引けなくなった。
俺は膝の上でもじもじと手を組み合わせると、二人から顔を逸らして、
「昨日―――柏木さんちに泊まった……」
とおずおずと口を開いた。
「な!何ーーー!!!?柏木さんちにって…お前!!とうとう…」
「ちょっとそれどういう意味よ!!」
二人が勢い込む。
まるで鬼のごとく形相を変えて詰め寄る二人に、俺は若干逃げ腰。
両手を挙げて降参のポーズを作ると、腰を引いた。
「だぁかぁら!!そういう意味!分かるだろ!?大人なんだから」
もうヤケクソとばかり俺は叫んだ。