Fahrenheit -華氏-

「「温度ぉ??」」


またも裕二&綾子の声がはもった。


こいつら、結構いいコンビなんじゃねぇの?そんなことさえ思える。


「あったかくていい……とか、なんとか……」


俺の答えに二人は目をキョトンとさせた。


やがて綾子がキャハハと声をあげて笑い出した。


「何それ!?抱き枕じゃん。男扱いされてないわよ~」


「うるせぇ」


俺は恥ずかしさのあまり、思わず怒鳴っていた。


「温度かぁ。それは予想してなかったな。さすがは柏木女史。男を選ぶ基準も普通じゃなかったか」と真面目顔の裕二。


「お前はがっつき過ぎだ。柏木さんちょっと迷惑がってたぞ?」


「な!お前っ!!何で知ってる??」


「へへん。お前のすることはお見通しだ。ざまぁ!」


俺は歯をむき出して思い切り笑ってやった。


さんざんバカにされたんだ。それぐらいいいだろ?


「てんめぇ!」と裕二が噛み付いてきそうな勢いで俺の胸ぐらを掴んだ。


「何とでも言え。勝ったのは俺だ」


キャンキャン喧嘩する俺らに向かって綾子が、


「お前らはガキか!!」


と一言怒鳴って、俺たちはびっくりして綾子を見た。





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