Fahrenheit -華氏-
■Bet(賭け)
「んじゃさぁ、賭けない?」
裕二は人差し指と中指を立てた。
2万……
まぁ悪い金額じゃねぇよな。
「俺とお前どっちが柏木女史を落とすか。勝負しようぜ。期限は無期限。どっちか先に落とした方が勝ちってことでどうよ?」
「ふ」
俺はちょっと冷たく笑った。
そんなガキみたいなバカなこと……
「乗った!」
俺は裕二の二本の指を掴んだ。
「そう来ると思ったよ。お前負けず嫌いだもんなぁ」
「お前には負けねぇからな」
「おうよっ!それはこっちの台詞だ」
そんなこんなで、社内きっての遊び人二人の勝負が
始まった。