Fahrenheit -華氏-
俺は柏木さんと女性陣の群を眺めるように、二人で並んで立っていた。
柏木さんは……やっぱそう言うの興味ないのかなぁ。
まぁ結婚は墓場だと言うぐらいだから、ホントに興味がないのかもしれないけど。
でも結婚って女の子の夢なんじゃないの?
そんなことを考えていると
「では!花嫁のブーケトスです!!」
と進行役の女性の声が聞こえ、集まった女性陣が「わー!」と声を上げた。
その中に綾子の姿もあった。
後ろを向いたマリちゃんが大きく腕を振りかぶる。
ブーケがマリちゃんの手から離れて大きく宙に弧を描いた。
「キャ~!」と女性陣の声が聞こえたけど、ブーケはあっけなく彼女たちの上を通り越していく。
おぉ。結構飛ぶなぁ。こっちきそう……
なんて思ってると
ポスッ
小さな音がしてブーケが柏木さんの手の中に落ちてきた。