Fahrenheit -華氏-
何度も頭を下げ人事部長は帰っていった。
「あー…じゃぁ緑川さん?紹介しますね」
そう切り出して、俺は柏木さんと佐々木を順に紹介していった。
「緑川 葉月です♪23です♪宜しくおねがいしま~す☆」
と場違いなほど明るい声を上げて緑川さんは頭をぺこりと下げた。
「23かぁ、若いね。柏木さんが一こお姉さんだね。彼女に色々教えてあげてね」
って言っても一ヶ月のことだけど。
柏木さんは俺を見るとちょっとだけ頷いた。
「え~!いっこしか違わないんですかぁ?あたし、もっと離れてるかと思ってましたぁ」
緑川さんが失笑といった感じでちょっと笑う。
………こ、このあからさまな敵視は……
俺はそろりと柏木さんを窺ったが、彼女は緑川さんの明らかに嫌味を含んだ言葉にも動じていなかった。
心が広いんだね、柏木さん。
ってか、無関心?
「そんなこと、どうでもいいです」オーラが出てるんですが。
「あ、ちなみに佐々木も緑川さんの一こ上だから、気軽に相談して?」
気を取り直して、俺は苦笑いで佐々木を見ると、佐々木は「こっちへ振らないでくださいよ」とあからさまに不機嫌そう。