Fahrenheit -華氏-

とは言ってもこれも仕事の内。


一ヶ月我慢すれば、緑川さんは横浜に帰っていく。


それまでの辛抱だ。


そう言い聞かせて、一日がスタートした。


一ヶ月という期間で仕事を覚えろとは言わない。


だから彼女にやってもらうのは本当に簡単なコピーやお茶汲み、データの打ち込みなどほんの雑務。




だけど……



「部長♪頼まれてた資料コピーしてきましたぁ」


と手渡された書類は全部、裏表間違ってコピーされてるし!


来客用のお茶を出させても、出てきたお茶は極端に薄かったり濃かったりでまずいし。


とにかく半日で


緑川さんが使えない社員だということが判明した。


しかし心の広い俺は(←自分で言う?)研修初日だし緊張してンのかと思って、温かく見守ることに。





しかし!




俺の考えは甘かった。







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