Fahrenheit -華氏-
そんなこんなで一週間が過ぎ、金曜日になった。
一週間……緑川さんに振り回されて、俺も佐々木もぐったり。
唯一変わらないのが柏木さんだけで、相変わらずマイペースに仕事をこなしている。
でも
今日が終わればとりあえず二日間は緑川さんから開放される♪
そんな思いで、打ち合わせを終えフロアに戻ろうとすると、給湯室から声が聞こえてきた。
「もっし~?ミカリン??あたし、葉月~♪」
と声が聞こえてきた。
何だ…電話してるのか?
ってか今就業中だぞ!!って言ってもあの女には通じないか…
「そっちはどぉ?こっちはタルいよー。部長が居なけりゃ、こんな分けの分からない部署なんて来ないって~」
キャハハと声が聞こえ、俺は足を止めた。
悪かったな!分けの分からない部署で!!
「でもぉ、神流部長やっぱ超かっこいいの~☆遊んでそうだけど、顔いいしぃお金もってそうだし~♪―――え?仕事??……さぁデキるのかデキないのか良くわかんなぁい」
おい…そこはデキるって即答しろよ…
なんて心の中で突っ込みを入れてしまう。
まぁ実際自分では分からないケド…
「―――でも、もう決めたんだぁ。あたし、部長を絶対堕とす。―――え?女??あぁ一人居るぅ。何か超冷たいオバさん。でも葉月の方が若いし、可愛いもん。だぁいじょうぶだよぉ」
おい!!オバサン言うな!!てめぇと一つしか違わないだろ!!!
ってかあんたより柏木さんの方が可愛いに決まってるじゃねぇか!
どっから出て来るんだよ。その自信は!?
と一気に突っ込んだ。
ってか、堕とすって……
緑川さんだけはぜってーない!!!
俺が好きなのは
柏木さんだから、他の女なんて眼中にない―――