Fahrenheit -華氏-

わ゛~~~~!!


マジで勘弁!!


「オ!俺!!彼女いるから!!!」


咄嗟のことに、口に出た言葉だった。


「……え?」


緑川さんの顔が固まったように強張った。


「その!俺こう見えても彼女を大切にするんだよね!裏切りたくないって言うか…浮気はしない主義なの!」


ってか、嘘くせぇ。


俺ってこんなだった??もっとうまくかわせた筈なのに……



でも緑川さんは俺の言葉を聞いて、哀しそうに眉を寄せた。


「……結婚……するんですか?」


「へ?結婚…??あ!うん。その予定!!」


おい緑川!


今度は変化球かよ。予想もしてなかったぞ、そんな言葉。


「どんな人ですか?」


俺は顎を上げた。


カーブだと読んだらフォークだったオチだ。


全く予想ができねぇ。


「ど、どんな人って……何でそんなこと聞くの?」


「だって!気になります!!あたし



結婚式のときに部長をひと目見て好きになっちゃったんですから!



ずぅっと思い続けてきたんです!!」





ナックルボールを投げられて、




見事三振……





そんなところだ。








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