Fahrenheit -華氏-


早く着け!


なんて思ってると、俺のこめかみに、いきなり両サイドから拳がぐりぐりとめり込んだ。


「お前は!生意気な態度を取りやがって!!」


「いでっ!!ぃでででで!!!」


俺の背後にいた男が俺の頭を挟んでいる。






「いきなり何すんだよ!!このクソ親父!」






男……もとい俺の正真正銘の親父を睨み付けながら俺が怒鳴り声をあげた。


俺のすぐ隣で綾子がくすくすと失笑を漏らしている。


綾子、笑ってないで助けろ!


「父親に向かってクソ親父とは何だ!久しぶりに顔を合わせたと思ったら、お前は相変わらずくそ生意気な態度取りよって!


しかもお前、俺の顔見たら一瞬嫌そうな顔しただろ!!」


「社内では会長と、その部下だろ!?それに嫌そうじゃなくて嫌なの!!」


「この!減らず口が」


親父は俺を睨んで、俺も親父を睨み返す。


父子中は




はっきり言ってよくない。



社内以外で顔を合わせると、俺たちは大抵こんな感じだ。









< 455 / 697 >

この作品をシェア

pagetop