Fahrenheit -華氏-
*迷走する女*
■Jr(ジュニア)
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――
柏木さんに…
告白する。しない。する。しない……
プチ、プチ…っと赤いガーベラの花びらを一枚一枚むしって。
最後に残った一枚は……
「しない…かぁ」
ガーベラの茎を手にして、一枚残った花びらがくっついた残骸を俺をくるくる指で回した。
ガーベラは受付のフロントに飾ってあったものを一本失敬した。
3日ほどのサイクルで受付の花瓶に飾ってある花が変わる。
今日は赤と黄色のガーベラにかすみ草が生けてあった。
ってか…花占いする俺って……相当イタイかも…
すぐ隣で佐々木が思い切り不審そうな目つきで俺を見ている。
そんな目で見るなよ!
分かってンよ。俺だって!!
でもそこまでする程煮詰まってるんだ!
「ルール違反です」
柏木さんの鋭い声が聞こえてきて、俺はびくりとした。
す、すみません!!
俺が悪かったです!!!厚かましくも気持ちを伝えようとしちゃいました!!
ごめんなさい!!
謝るつもりで手を合わせて、目を閉じていると、
「何やってらっしゃるんですか?」
と柏木さんの若干険を帯びた声が聞こえてきて、俺は目をぱちくりさせた。