Fahrenheit -華氏-
進展……
進展は……あった…
「キャーーー!!」
昨日のことを思い出して、俺は顔を覆った。
「こりゃ重症だ。お前マジで早く病院行って来いよ」
裕二がげんなりしてタバコを吸う。
「裕二ぃ。聞いてくれよ~」
ゆさゆさと裕二を揺さぶっていたら、同じフロアの社員が入ってきて、俺は手を止めた。
ゴホンっと一つ空咳をして、立ち上がる。
「じゃぁな裕二」
スタスタと廊下を歩いて、俺は首を捻った。
裕二…あいつ、ところで何しに来たんだ?
「おい。待てって」
裕二が追いかけてきた。
「何だよ。病院なら間に合ってるぜ?」
「そんなんじゃねぇよ。桐島んとこの子供、予定日は10月の半ばだろ?三人でお祝いの品贈らないかって、綾子が」
「ああ…。10月だっけね?男だっけ?」
「そう。男。来週ぐらい三人で何か見に行かないか?」
「三人で?まぁいいけど、俺、邪魔じゃね?」
「気にするなよ。あ、じゃぁ柏木さんも一緒についてきてもらったら?」
え―――?柏木さん??