Fahrenheit -華氏-


進展……


進展は……あった…


「キャーーー!!」


昨日のことを思い出して、俺は顔を覆った。


「こりゃ重症だ。お前マジで早く病院行って来いよ」


裕二がげんなりしてタバコを吸う。


「裕二ぃ。聞いてくれよ~」


ゆさゆさと裕二を揺さぶっていたら、同じフロアの社員が入ってきて、俺は手を止めた。


ゴホンっと一つ空咳をして、立ち上がる。


「じゃぁな裕二」


スタスタと廊下を歩いて、俺は首を捻った。


裕二…あいつ、ところで何しに来たんだ?


「おい。待てって」


裕二が追いかけてきた。


「何だよ。病院なら間に合ってるぜ?」


「そんなんじゃねぇよ。桐島んとこの子供、予定日は10月の半ばだろ?三人でお祝いの品贈らないかって、綾子が」


「ああ…。10月だっけね?男だっけ?」


「そう。男。来週ぐらい三人で何か見に行かないか?」


「三人で?まぁいいけど、俺、邪魔じゃね?」


「気にするなよ。あ、じゃぁ柏木さんも一緒についてきてもらったら?」


え―――?柏木さん??







< 533 / 697 >

この作品をシェア

pagetop