Fahrenheit -華氏-

蕎麦を食べ終えて、俺たちはふらふらショッピングをすることに決めた。


小綺麗な通路を歩きながら、どうゆう流れで手を繋ごうかとあれこれ考えていると、瑠華の手が自然に俺の腕をとった。


え??


びっくりして彼女を見下ろすと、瑠華は得に気にしていない様子で周りのショップに目を向けている。


手を繋ぐのもいいけど、腕組んで歩くのもなんかいい!!


俺たちって恋人同士に見えない??って恋人同士なんだけどね…


キョロキョロとショップの辺りを彷徨っていた瑠華の視線が、ふいに俺へと向けられた。


「どした?何か欲しいものでもあった?」


「いえ…さりげなく……あたしの歩調に合わせてくれてるな、って思って」


え…?あぁ…まぁそれは基本でしょ。


は!慣れてるって思われた??


でもしっかりデートするのなんてここ何年もしてないし!!


あれこれ考えてると、


「優しいですね」


と意外な言葉が返ってきた。


「あたし……デートしたのなんて、何年ぶりだろ…」


瑠華がはにかみながらちょっと笑う。


「俺もだよ。っていうか離婚して彼氏は作らなかったの?」


「いませんでしたね。面倒くさかったし」


面倒くさい…


瑠華らしいや。でも、俺はそれを飛び越えて選ばれたってわけ?ちょっとは好きでいてくれてる??


そう考えるとやっぱ嬉しい!





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