Fahrenheit -華氏-
それから長々と酒を飲んで、夜中も三時を過ぎると、俺たちは再び寝室に入った。
寝るだけだから、俺はコンタクトからメガネに。瑠華も今まで気付かなかったけれど、実はコンタクト着用だったわけで、彼女もメガネに変えていた。
メガネ……
赤い縁取りのメガネは彼女に良く合っていて、それでいて何かエロい。
着ているものも白い大きめのシャツ一枚だったから、保健室に出てくるエロ女保健医って感じだ!
ってか、それってAVの王道…
俺、どんだけよ……って自分に突っ込みたくなる。
「メガネ可愛いね♪でも俺気付かなかったよ。視力悪かったんだね」
「ええ。両目とも0.1ありませんよ?啓もメガネだったんですね」
「うん。俺も0.1ない。瑠華と一緒ぐらいかなぁ」
「メガネって面倒くさいですよね。取ると何にも見えなくなっちゃう」そう言いながらも瑠華はメガネをゆっくり外して、枕元のローボードにことりと置いた。
あら…すっかり寝る体勢ね。
羽毛布団を顔まで引き上げると、瑠華はちらりと俺を見上げてきた。
「ん?どした?」
俺も同じようにメガネを外しながら、ちょっと彼女に微笑んだ。
「いえ…啓のメガネって…何か見慣れないせいかな?色っぽい…」
いやいや、君ほどでないよ。
ごそごそと、布団の中に潜ると彼女を抱きしめて
「お医者さんごっこしたくなった…」とぽつりと言ってみた。
「は?」
「いやいや。独り言デス。気にしないで」
俺は笑いながら彼女の首の下に腕を入れた。