Fahrenheit -華氏-
今日も朝早かったし、動き回ったし、普通なら眠くなる時間だ。
でも眠気は一向にやってこない。
それどころか、目はぱっちりと冴えている。
瑠華は眠いかな、と思いながらしばらく黙っていたら、
「綺麗なマンションですね。分譲ですか?」と彼女が布団を少しだけ引き下げ聞いてきた。
寝てなかったんだ…
「いや。賃貸。俺引越し魔だから」
「引越し魔…」瑠華が小さく笑う。
「分譲で落ち着くときは、結婚してからかなぁ」
さりげなく結婚の文字をちらつかせてみたり…
今まで結婚なんて絶対ありえない!なんて考えてた俺が180℃違う考え。
俺は瑠華と―――
結婚したい。
もちろんこのままの関係で、泊りに来たり、泊りに行ったりもいいけど、仕事でも毎日顔を合わせるし。
でもそれ以上に俺は彼女の時間を独占したい。
24時間くっついていて、彼女の視界に常に映っていたい。
そんな風に思うなんて俺はどこか変なのだろうか。
ちょっと異常なのだろうか―――?
考えても、分かんねぇ。
でも一つだけ分かっていることがある。
彼女が俺と同じことを望んでいない
ということ。