Fahrenheit -華氏-
■Puzzle(パズル)
一つ一つが……まるでパズルのピースをはめ込むように、きっちりと画を成して来た。
「そういう……こと…」
前に飲み会で「お金を持っている人」と「子供好きな人」が嫌いと言っていた。
『戦う為の軍資金を持っている人が嫌いなんです。でも私のは守る為……』
ようやく繋がった。
ようやく―――
彼女の本心に触れられた。
「マックスは……お金に任せてあたしのすべてを奪った。憎い男……
あの人は……あたしの中でいつまでも存在し続けてる。いつまでもあたしを苦しめる。
別れてもなお……」
不思議ですよね…愛してるっていう感情よりも憎い感情の方が人の心に残るの。
瑠華はそう続けて目を閉じた。
「忘れさせて。あの男を……」
そう言って、俺の首に腕を回してきた。
俺はようやく理解できた。
彼女が俺を求める理由。忘れたいから、あいつの痕を消し去りたいから―――
だからだ。
俺は瑠華を抱きしめた。
だけどそれ以上をする気にはなれなかった。
求める気持ちは大きいのに―――
他の男のことを想っている彼女のことを抱く気にはなれなかった。
いや…違う―――