Fahrenheit -華氏-
な、何で!!緑川がここに居るの!?
あいつ病欠じゃなかったっけ??
ってか男連れじゃん!
弟……?友達……?んなわけないよな。
弟でも友達でもあんな風に手を繋ぐわけない。
立ち去っていく緑川の横顔がすごく楽しそうだった。
彼氏―――?
そう言えば『恋人ないし片思い相手に振り回される一日。身も心もくたくたに疲れるでしょう』って占いに書かれていたな。
ふーん…
口の中で呟いて、「ま、いいか。俺には関係ない」と独り言を呟き、俺は車を発進させた。
打ち合わせを無事に終え、会社に戻って仕事に励んでいると、緑川のことはすっかり忘れ去った。
ってかあいつ一人いないだけで、この進み具合どうょ!!
いっそ入院してくれないかな…なんて黒いことを考える俺…
でもでも!
どの道もう少しで開放されるっ!!
何せ約束の一ヶ月はもう目前だからな!
今度の飲み会は懇親会という名目だが、俺は『さよなら緑川さん♪』会にしたいぐらいだ。